大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和48(オ)621 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人の上告理由第一点について。

民法二一六条にいう工作物の破潰又は阻塞は、それが、自然力ないしは不可抗力

によつて生じた場合に限らず、工作物の所有者の故意過失によつて生じた場合をも

含むものと解すべきである。したがつて、同条の工作物の破潰又は阻塞は、工作物

の所有者の過失によらない全くの自然力ないしは不可抗力によるものであることを

要するとした原審の判断は、同条の解釈適用を誤つた違法があるものといわなけれ

ばならない。

しかし、原審の確定した事実によれば、上告人の所有地が大助川の増水により冠

水するのは、同川の排水能力がもともと低いうえに、豪雨ないし台風の際における

同川の圦(原判決に圦とあるのは、明白な誤記と認める。)の管理が適切を欠くた

めであつて、被上告会社が、その所有地内にある排水路を廃止したことによるもの

ではないというのであり、右事実関係に照らすと、被上告会社の排水路の破潰によ

つて、上告人所有地に損害を及ぼし又は及ぼす虞があつたものということはできな

いから、右違法は、原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるとはいえない。

それゆえ、論旨は採用することができない。

同第二点について。

所論(B)点に圦が存在した旨の原審の認定は、これに照応する証拠資料がない

から、証拠に基づかないでした事実の認定といわざるをえないが、原判決は、他の

二個所に圦があり、その管理に適切を欠いた事実を認定しており、右認定は挙示の

証拠により首肯できる。そして、原判決の適法に確定した事実関係によれば、大助

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川沿岸水田の台風時の冠水が、右二個所の圦の不適切な管理に起因する可能性のあ

ることは、推認しえないわけではなく、原判決の前記違法は、必ずしも直ちに原判

決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるとは認められない。その余の所論の点

に関する原審の認定は、原判決挙示の証拠に照らして首肯することができ、その過

程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主

文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 大 塚 喜 一 郎

裁判官 岡 原 昌 男

裁判官 小 川 信 雄

裁判官 吉 田 豊

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